ニキビに関するQ&A

Q:ニキビは何故できる?

A:思春期になると活発に分泌されるようになる男性ホルモンの働きで、毛穴の出口が角化し塞がれることが原因です。

また、セラミドなどが不足して肌が乾燥すると、角質のバリア機能が低下するため、これが毛穴の出口付近での角化異常を引き起こし、原因となることもあります。

Q:大人のニキビとは何?どこが違うの?

A:思春期以後の女性に出て、治りにくく、男性のヒゲの生える場所(Uゾーン)にできるのが特徴だと云われているようです。ストレスによりホルモンのバランスがくずれて、男性ホルモンが増えることが原因とされています。しかし、実際にはヒゲの生える場所以外にもニキビが出ることはしばしばあり、その意味では思春期のニキビとの区別は明確ではないと、私自身は考えています。
また、ニキビそのもののでき方(面皰~赤ニキビ~膿ニキビ~赤い色のあと、色素沈着、またはクレーター)に差異はありません。

Q:いつまで続くぬかるみぞ?私のニキビ人生

A:一生における男性ホルモンの分泌のピークは思春期から25~26歳までです。その年齢を過ぎると徐々に分泌量が減少していくため、ニキビの出方も減って30歳くらいまでには大半の方が落ち着いてきます。
長年、たくさんのニキビの方を診てきましたが、オデコに可愛くポツッと出て始まったニキビがだんだん下のほうへ下りて、口のまわりや顎の下に集中してでき始めるとあと2~3年で終わりになることが、経験的に分かってきました。
今では出ている場所を診ると、おおよそその年齢が当てられるくらいです。

Q:治療をずっと続ける必要が?

A:症状の個人差はかなり大きく、また、その方がどの程度気にするかで違ったものになってきます。
今まで医治を受けようとおいでになった方の平均的な例でお話しますと、初診から集中的な治療で、まずいったん、略治の状態までもっていくのにはおよそ3週から1ヶ月で、このこと自体はさほど難しいことではありません。
問題となるのは、むしろその後のことで、前述しましたように男性ホルモンの分泌が落ち着く年齢がくるまでは、また少しずつ悪化することが避けられないということです。
この為に、いったん良い状態までもっていった、その状態を、どうやって維持するかということがニキビ治療の最も大切なポイントとなります。
具体的に維持の方法はさまざまで、たまにコメドをとりにくればすむ方、生理前の悪化がどうしても気になりその時だけ予防のお薬を飲む方、漢方薬で体質改善を続ける方などいろいろです。
よく、患者さんから「お医者サンにかかって少し良くなったと思っても、またすぐ悪くなる」という訴えは、日常しばしば経験するところですが、それは前述しました「ニキビとはどういうもの」という正確なことが、前医から伝えられなかったのでしょうか。医師の側に説明不足があったとしたら、それは遺憾なことと言わざるをえません。

Q:ニキビはできやすい時期は?

A:女性であれば生理前の黄体ホルモンが増える時期。また、季節的には春~夏が最も悪くなりやすい時期といえます。
汗をかくことにより、皮膚がアルカリ性に傾きバイ菌が繁殖しやすくなるためです。
また、アクネ菌の排出するポルフィリンという物質に紫外線があたると、活性酸素が発生し、皮脂を酸化するため炎症をおこす事も知られています。

Q:日常の注意することは?

A:ニキビは触らない、つぶさない。
油こいもの、刺激物を食べ過ぎない。
頬杖をつかない。
布団をかぶって寝ない。
睡眠不足をしない。
便秘をしない。
ストレスをためない。
顔や首に髪が触れない髪型にする。
特に生え際はヘアワックスなどで悪化することもあり。
リンスやトリートメントをした後はその雫が垂れないよう髪をタオルでくるみ、その後必ず、すすぐ。
ファンデーションは適切なものを選ぶ。化粧品が薬と同じと思わない。
帰宅後はまず、ダブルクレンジングでメイクを落とす。
うっかり、メイクをしたまま寝てしまわないよう気をつける。
できるだけお酒は控えめに。
日焼けに気をつける。

Q:治療の方法は?

A:一般的には保険治療の場合、薬物療法が主体と言わざるを得ません。
従来からある外用療法としては毛穴の詰まり(白ニキビ、面皰)に対しては硫黄が主成分のイオウカンフルローション。炎症をおこしたニキビに対しては抗菌クリーム、抗生剤ローション、化膿止め軟膏の他、最近はニキビを元から出来なくするというコンセプトのディフェリン、過酸化ベンゾイルのべピオ、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシン合剤のデュアックなど新しい外用薬が多数発売されています。
これらの外用剤は使用始めに多少の刺激感などを伴うことが多いので注意が必要です。

Q:自費治療の種類は?

面皰(コメド)の剥出
圧潰治療
炎症をおこす前の段階で中の芯を圧出することにより赤く化膿することを防ぎますので、赤いアトになりません

面皰形成予防
ケミカルピーリング、ホルモン療法

治療後の赤いアト改善
ビタミンCイオン導入、エレクトロポレーション
高濃度ビタミンC配合の院内製剤化粧品

瘢痕・クレーター
CO2フラクショナルレーザー

Q:ホルモン治療の実際は?

  • スピロノラクトン(アルダクトン)
  • イソトレチノイン(アキュテイン・ロアキュタン)
    当院ではアクネトレントです。

オイリースキンが強く、種々の治療に抵抗してなかなか軽快しにくい重症の方対象
服薬2週後くらいで皮脂分泌の低下がみられ、コメドの形成が徐々におさまって著効を示しますが、ある程度副作用の心配もありますので、毎回の診察、血圧測定など慎重に対応しております。

料金 アルダクトン 1錠につき¥120(税込)
   アクネトレント10mg 1錠につき¥360(税込)

Q:エステでニキビコースというものがあると聞きますが?

A:どのような内容かにもよるかとは思いますが、圧潰治療のところで説明しましたように、炎症を起こしたり化膿して腫れ上がったりしたものは、絶対にいじってはいけないのが、皮膚科の鉄則で、マッサージなどはもっての他です。
また、コメドの新生、化膿の助長、悪化という意味でもクリームやオイルを用いてのマッサージはお勧め出来ません。

今や「アクネは病気である」という認識は世の中の常識となりました。
「ケミカルピーリング」という画期的治療が登場し、また2010年にはアダパレンという、コメドの形成以前から角質の代謝を正常化する薬剤も開発され、日々、治療は進化しています。

古くは「青春のシンボル」などと云われ、とかく軽く見られがちだったニキビも、今は皮膚科医の間で真剣に取り組まれています。
私自身の考えとして、エステそのものを全く否定するつもりはありませんが、まず、皮膚科医に相談されることが望ましいと考えます。

Q:ケミカルピーリングとはどういったもの?

A:皮膚にグリコール酸などの化学物質を塗布することにより、皮膚の表面を剥脱させる治療のことです。
剥離深度により角層から真皮までの4段階がありますが、このうち、ニキビの治療には主として最浅層~浅層のピーリングが一般的です。ニキビにピーリングを施行することにより、
1、毛包漏斗部において肥厚した角層を取り除き、コメドの発生を抑制する
2、炎症性のニキビに対しては排膿を促す
3、浅層~中間深層のピーリングを施行することによりニキビの赤いアトやくすみを改善するなどが期待されます。

最初に日本にピーリングが持ち込まれた時は、日本人の肌に合った薬剤の改良というものがなされていなかったため、「真っ赤になってボロボロ皮がむけ、1週間外へ出られなかった」などのトラブルもありましたが、医療機関においては今はそういった事故はなく、ピーリングはニキビ治療の重要な選択肢の一つになりました。
しかしながら、現在まだ保険の適応は無く、またある程度の効果が現れるまで6,7回以上の施術が必要なこと、治療中は遮光が必要なこと、まれには赤くなってヒリヒリしたりなどの多少の副作用等もあり得ますので、治療希望の際は十分に説明を受け、納得してからになさって下さい。
また、一般の化粧品でグリコール酸やフルーツ酸を配合し「ホームピーリング」として販売されているものがありますが、元々化粧品には、法律で配合の濃度の規制がありますし、また、これらの多くは使用者が万が一、間違った使い方(洗い落とさずにそのまま寝てしまう、など)をしても事故にならない様、濃度やPHを調整してあります。従って、医療機関で受けるピーリングとは全く同じ効果を期待出来ないことはご理解下さい。

Q:化粧品についての注意事項は?

A:順を追って説明しますと

1、クレンジング
メイクをしっかり落とすことは大事なことですが、ニキビの方にはオイルクレンジングはお勧めしません。また、目の回りで口の脇がかさつきがちな方はふき取りタイプの方がベターです。

2、洗顔料
汚れ落ちだけに気をとられず、洗顔後の肌の状態を観察しましょう。かさついて粉がふいたり、つっぱってすぐに何かつけないといられないようなものはもってのほかです。また、顔も季節や環境、部位によって皮脂の出方に差が生じますので、一概にニキビ肌、脂性と決めつけず、季節により種類を変える、Tゾーンのみ2度洗いをするなどの工夫が必要です。タオルは真っ白の物を使うと汚れがキチンと落ちたかどうかわかります。化膿して、膿をもったニキビのある方は、スクラブのようなものは使ってはいけません。

3、化粧水
ニキビに対して悪影響は通常、ありません。水分補給の意味で使われて良いと思います。コットンにたっぷりとり、軽くパッテングしながらつけるのがベターですが、化膿して膿をもったニキビは頭を潰さぬよう気をつけてください。

4、保湿
前述しましたように、最近では、角質層の天然保湿因子NMFやセラミドの不足によるかさかさもニキビの原因になり得る事が分かってきました。この意味で保湿は大切ですが、油やクリームなどの毛穴を塞ぐものは、目の回りでニキビが出来ずかさつく部位以外やめて、水分系の保湿を心掛けましょう。

5、日焼け止め
日焼けにより生まれる活性酸素や紫外線は、ニキビのみならず、皮膚にさまざまのダメージをもたらします。この意味で日焼け止めは必需品といえます。また、日常のちょっとした紫外線(生活紫外線)をも避けるためにメイクをしない方でも、朝の洗顔後には日焼け止めは塗りましょう。選ぶ際、SPF値は特別、日差しの強い場所に出かけるのでない場合は30もあれば十分です。値段の高い物よりマットにつきすぎず、毛穴を塞がないものを選んでください。なかには、配合されている紫外線吸収剤にかぶれる方もありますので、内容もよくチェックしましょう。

6、ファンデーション
紫外線予防の見地からは使用したほうがよいといえますが、ニキビのみについて云えばお勧め出来ません。しかし、お勤めの都合など、皆、それぞれに事情があるものですから、全く禁止というのは現実的ではないといえます。
ここでは、選び方、つける時の簡単な注意事項を述べておきましょう。
まず、ファンデーションには主にリキッド、クリーム、パウダリィファンデーションの3種類がありますが、カバー力が強いものほど、ニキビの肌への負担は大きいものと思ってください。そして、これらの中で一つ注意して頂きたいのですが、パウダリィファンデーションはパウダー(お粉)とファンデーションが一体になったもので、つける時はそれ一種類ですむものですが、ニキビを隠したいあまりに、下地としてリキッドのファンデーションを使っている方がしばしばあります。これではニキビは悪化の一途です。
またパフやスポンジはバイ菌の繁殖しやすいものですから、こまめに洗っていつも清潔なものをお使い下さい。
尚、当院では新しく、カバー力がありしかも毛穴に目詰まりしにくいミネラル粉ファンデーションの販売を始めましたので、まずはサンプルで試してみられてはいかがでしょうか。

Q:ビタミンC

A:今までビタミンCはそのままの形では皮膚から吸収されず、用いる場合は注射または内服するしかありませんでした。ところが、これでもやはり吸収はかなり悪く、大量に摂取したり点滴などをしても大半は尿中に排泄されてしまいます。このため、シミや色素沈着などの皮膚の気になる、効いて欲しい部分にどの程度到達しているのか、はなはだ疑問が残っておりました。ビタミンC誘導体ローションやスティックは、直接、皮膚からしみこむ事により、この難点を解決したものです。
私達、皮膚科医が扱っているものは高濃度で8~10%のものですが、普通の化粧品として売られているものは、2~3%のものが多いようです。

<当院で取り扱っているもの>

  • VCH10 10%高濃度ビタミンC+ヒアルロン酸入り化粧水50ml:¥3,000(税抜)
  • APPS 水にも脂にも溶け、肌の表面で弾かれない高浸透ビタミン入り化粧水30ml:¥3,500(税抜)
  • APP+EPC 10%高濃度ビタミンC+ビタミンE誘導体入り化粧水50ml:¥4,800(税抜)
  • VCジェル 高濃度ビタミンC入りジェルクリーム 10g:¥1,000(税抜)
  • VCSS ビタミンC入りサンスクリーン SPF30 PA++ 10g:¥1,200(税抜)

最後に

ニキビは思春期から25~26歳までをピークに、その後も数年は続く経過の長い病気です。
命にかかわることは無いにしても、外から見える場所だけに、患者さんの精神的苦痛は計り知れないものがあります。
また、いずれ治ることは分かっていても、適切な治療が施されないと、いわゆる「あばた」と呼ばれる瘢痕、醜形を残すことも多々あります。
治療は信頼のおけるお医者さんと二人三脚で、あせらず、じっくりと・・・・。
あまりに完璧を望むと息切れして自分が苦しくなります。
まずは「悪くしないこと」を目標に、ゆっくりとながーく頑張りましょう。